挿話 気高き風


 たゆたう水面に糸を垂らしながら、男は深々と溜息を吐いた。
 小さな一艘の船の上。三十を越えたばかりのその男は、疲れた表情で釣竿を握っていた。足元には釣り上げた小ぶりの魚が何匹か転がっている。男にとって毎日の貴重な食料源だ。沖に出ればもっと大きい獲物が狙えるのだろうが、そうすれば自分の命を危険に晒すことになる。
 世界に魔物が氾濫して十四年。それ以来、海には幾多の強力な魔物が溢れていて沖に漁に出ることが不可能になってしまった。こんな近海でさえ、いつはぐれ魔物(モンスター)に襲われないとも限らない。漁師である男はここ数年、日々を食いつなぐのがやっとという生活を強いられていた。
「はぁ……」
 どうにもならない現状を憂いて、本日何度目かの溜息を付く。
 うな垂れ、虚ろな眼差しを海へ向けるとふと、水面に気泡が立った。何気なく視線を送った、その時、
 ザパンッ。水音と共に突如として表れた()が船の淵に掛かかるのに、男は仰天した。思わず竿を投げ出して尻餅をつく。
 手は人間のものだった。それも小さい、子供のものだ。やがてその手の持ち主は、そのまま船へと這い上がって、ずぶ濡れの身体を船底に落ち着けた。
 少女だった。まだ十代半ばだろう。濡れた黒髪を、異国情緒溢れる緑地の服に張り付かせながら、荒い息を付いている。顔立ちはまだ幼さを多分に残しているが、漆黒の双眸から発する光は力強く、どこか精悍さが感じられた。腰には反りの入った短剣らしきものを帯び、胸元には9の字の形をした、見慣れない石を紐で吊り下げている。
 目を見開く男に、ようやく息を落ち着けた少女は澄んだ声音を上げた。
「助かった……。私はセン、ジパングからやってきた者だ」



「れい……なんだって?」
麗牙(れいが)、だ。煉樹流剣闘術『麗牙』、通称麗牙流。私はそれを伝播するため、ジパングを旅立った」
 外見とは裏腹に、堅苦しい口調で少女が答える。
 ここは男の家だった。そのまま漁を続けられるはずもなく、あの後すぐさま取って返して、この奇妙な異邦人を家に招きいれた。
 家では妻が帰りを待っていた。とりあえず濡れねずみになった少女を着替えさせると(勿論妻の服を貸したわけだが)、一息ついたところで彼女は自分の身の上を語りだした。
 男の住む集落から北東に位置する列島。それがジパングという国だ。数百年も前から国交を途絶させていて、その文化や風土はようとして知れない。
「まさかあんた、ジパングからここまで泳いできたってのか?」
 ここからジパングまでは、地図上は目と鼻の先とはいえ、帆船でも半日という距離がある。問いに、少女――センは首を横に振った。
「途中までは小船に乗っていたのだが、海の魔物(もののけ)どもに沈められてしまった。そこから何とかここまで泳ぎついたのだ」
 こんな少女が、海で魔物に襲われながら泳いで生還したなど到底信じられなかったが、しかし彼女の衣装はこの辺りでは見かけないものだったし、そんな嘘を付くメリットも無い。
 そこで出たのが武術の伝播だ。
 武術を伝えるために全く知らない他国へと渡る――男にとっては想像もつかない話だ。少女はお世辞にも格闘術に向いている体格には見えなかったが、外見からは想像もつかない力を秘めているのだろうか。
 彼女が座るその脇には、少し反り返った剣が置いてある。剣闘術という名前からして、武器と体術双方を扱うのだろう。鞘の形状から察するに片刃のようだ。装丁が独特で、旅人などが身に付けているようなものとは随分と異なる。これもジパング特有のものなのろうか。
「でも、女の子一人でなんてぶっそうよ」
 妻が眉根を寄せてみせる。確かに成人するかしないかの少女が一人旅というのは、常識的に言って危険極まりない。それを指摘された少女は表情に若干の陰を落とす。
「……本当は連れが居たのだが……魔物に襲われた時にはぐれてしまったようだ」
 話によると、共に同じ武術を学んだ仲だそうだ。彼女が無事ならきっとその人も大丈夫だろう。そう気休めを口にすると、センは「そうだな」と小さく頷く。
「……ところで、この村で武術を学びたいという者はいないだろうか」
 少女の口調に若干の熱がこもった。それだけ使命感が強いのだろう。だが、
「残念だけどな、娘さん。この村にはそんな奴は一人としていないよ」
 魔物という異形の怪物が跋扈(ばっこ)するこのご時世。大きい街であればともかく、ここのように小さい村落では、いつ魔物に滅ぼされるか解らない。おまけに満足に農耕も漁猟もできないのだ。その日その日を生き抜くので精一杯。それがこの村の、自分達の現状だった。
 それを伝えると、少女は解り易いくらい落胆してみせた。そんな彼女を不憫に思ったのか、横から妻がフォローを入れる。
「でも、それもあと四年の辛抱よ。そうすればアリアハンの勇者様が、きっと世界を平和にしてくださるわ」
「アリアハンの……勇者?」
 世界暦三四一年。世界を平和に導くためここから南にある島国、アリアハンから勇者が旅立つ。そんな噂が流れたのはもう何年も前の話だ。村に立ち寄った旅人の誰もがそう語ったことから、情報の信憑性は高い。
「もっとも、そんな都合の良い話が本当にあるのかは解らんがね」
 平和にしてくれるというなら、これ以上の幸いはない。だが、あんな怪物どもを相手に、人間が敵うとはとても思えないというのが男の偽らざる心情だ。
 叶わぬ夢なら、始めから願わないほうが良い。そうすれば少なくとも、落胆することもない。
「……さあ、ともかく今日くらいはゆっくりしていってくれ。何も無いところだがな」
 胸にわだかまる不安を吐き出すように、男は強引に話を打ち切った。少女は一言、「感謝する」と述べた。

 少女は次の日村を旅立ち、男は再び何事も無かったように日々を過ごす。
 その想像は翌日、大きく裏切られることになった。



 始まりは悲鳴だった。
 少女の訪れから一夜明けたその日、まだ日が昇り始めたばかりという時分の村に、甲高い、女の悲鳴が響く。続いて男の、子供の、老人の叫び。それをかき消すように轟く、人ならぬなにか(・・・)の咆哮。
「なんだってんだ!?」
 男の総身に震えが走る。一体何が起こったか。絶望的な予感が脳裏をよぎる。
 慌てて家を飛び出したその時、予感は確信となった。

 魔物だ。

 村に取り巡らされていた木の柵をまるで紙切れのように吹き飛ばしたその群れは、破壊の本能のままに、人を襲い、家屋を叩き壊す。
 全身を覆う茶色の獣毛に長い尻尾。外見の特徴だけを見れば猿に近かったが、その体長はゆうに三メートルを超える。丸太のような両腕を乱暴に振り回す度、岩壁が砕け、大地がえぐれ、命が絶えた。
 暴れまわる大猿。逃げ惑う村人。壊される家。壊される人。
 悄然として棒立ちする男は、その目の前に大猿が迫っているのに反応すら出来なかった。
「あ……」
 口から零れたのは、何の意味も成さない言葉。大猿がその巨腕を振り上げる。最後ならせめて気の利いた言葉でも残すんだった。どこか朦朧とした頭で、男はそんなことを思った。
 死を確信したその時、男の脇を一陣の風が吹き抜ける。
 風が砂を舞い上げ、(くう)を裂く。その姿を目に留めた時には、大猿は血を吐き、地に伏していた。
「あんた……」
 男は呆然と、その少女へ声をかける。
 吹き抜ける風が、左右で束ねた少女の黒髪を揺らす。昨日と同じ、緑を基調としたジパング特有の服をまとうその姿は、魔物を前にした姿とはとても思えないほど泰然としたものだった。彼女の右手にある抜き放たれた白刃が、妖しくも美しい光を放つ。
「一宿一飯の恩。晴らさせていただく」
 センは毅然とそう告げ、風のように疾駆した。


     ×××××


 巨大な猿の魔物(もののけ)が、小さな集落を所狭しと暴れまわる。
 息を吸う。
 息を吐く。
 全身に理力()が巡る。四肢に、五体に、体中に力がみなぎっていくのを、センは恍惚として実感した。
 腰よりジパング特有の剣、刀を引き抜く。銘は『火明(ほあかり)』。反りの大きい愛刀は、自分の腕と全く同じ長さに合わせてある。刀身が陽光を照り返し、妖しく光る。
 センは大地を蹴った。
 大猿が男へ向けその豪腕を振り上げるのに、まさしく風の如ように疾駆する。勢いよく突き出された魔物の掌を、センは刀で受けとめた。
 豪快な巨腕の一撃は、鋭利な刃によって無残に二つに裂かれる。絶叫が耳をつくのに構わず、痛みのあまりがむしゃらに振り回される双腕を最小限の足捌きで(かわ)すと、センは半身を引き、大猿の突進に合わせて掌底を叩き込んだ。鳩尾(みぞおち)にめり込んだその一撃は、表皮には傷一つ付けず内臓だけを破壊する。魔物は血を吐き、(むくろ)と化した。
「あんた……」
 背後から男が虚ろな言葉を投げ掛ける。センはそれに振り返ることなく、ただ毅然として告げた。
「一宿一飯の恩。晴らさせていただく」
 男の返事も待たず、魔物の群れへ向け疾走する。
 魔物の数は残り四。茶色い毛並みの大猿が四匹と紫色の体毛の大猿が一匹。おそらくこやつが群れの(ボス)なのだろう。
 一人で相手にするには厳しい数だ。だが退くつもりは些かも無い。受けた恩は、たとえ命を賭そうと返す。それがセンの信念であり、誇りだ。
 群れから少し離れている一匹に狙いを定めると、死角から大猿のこめかみに飛び蹴りを入れる。攻撃に仰け反る体に、着地と同時に脇腹へ肘を打ち込み、そのまま回転してがら空きの喉笛を斬り裂いた。流れるような連続攻撃に、魔物はなす術も無く絶命する。
 そこで、残りの三匹が動きを止めた。覚ったのだ。自分達にとって脅威の存在がいることを。
 魔物たちの注意が自分に向けられた瞬間、センは声を張り上げる。
「皆、今のうちに逃げろっ!」
 村人を逃がすには今しかない。戦いを呆然と見守っていた人々は我に返ると、慌てて走り去る。魔物は追わない。そうすればたちまち、自分が目の前の少女に斬り捨てられるであろうことを、本能的に理解しているのだ。
 やがてその場には、一人の少女と三匹の大猿だけが残った。魔物らは獰猛な敵意をむき出しにして、今にも飛び掛らんと戦闘姿勢を保っている。対する少女は湖面のように静寂とした表情で、刀を斜めに構えたまま、動かない。
 均衡を、咆哮が破った。
 三匹は一斉に突進をかけてきた。左右から茶。正面から紫。センはその場に留まったまま、神経を研ぎ澄ます。
 最初の一撃は右からだった。暴れ牛のように突進をしながら、振り上げた両腕を真っ直ぐに振り下ろしてくる。所詮は野性の魔物、攻撃が単調だ。センは慌てることなく、それを『火明』で受け止める。
 続く攻撃は左から。避けられる体勢ではない。大振りの平手打ちに、一瞬の判断で右に飛んだ。強烈な打撃が全身を揺さぶり、小柄な体が大きく吹き飛ばされる。地面に激突し、さらに大地を転がってようやく体を起こした時には、魔物らとの距離は大きく開いていた。
 左腕がズキリと痛む。だが、骨に異常は無かった。咄嗟に逆方向へ飛んだおかげでダメージが緩和されたのだ。
 遠くで茶色の魔物が悲鳴を上げる。先程吹き飛ばされる寸前、センは刀で大猿の両手首を斬り裂いていたのだ。相手は魔物とはいえ、野生のものは普通の生物と体の構造はほとんど変わらない。動脈を深く裂かれた魔物の手首から、噴水のように血が溢れ出る。
 あと二匹。失血で倒れ伏す魔物に気を取られたその時、センははじかれたように周囲を見渡した。紫紺の大猿の姿が無い。
 おたけびが響いて、センは空を見上げた。五メートルはあろうかという間合いを、ボス猿はたった一度の跳躍でゼロにした。
「くっ……!」
 寸手で巨体の突進を躱す。大猿は着地と同時に凄まじい勢いで接近してきた。捕まった時点でこちらの命運は尽きる。豪快に突き出されたその腕に、センは刃先を突き出した。
 刀が巨腕を貫く。しかし大猿の攻撃は止まらなかった。刃の刺さった右腕をそのままに、左腕から平手打ちを繰り出す。身動きの取れないセンは直撃を受けた。
 体重の軽いセンは先程の倍の距離を吹き飛ばされ、民家の石壁に叩きつけられる。壁が大猿によって半壊しており、センの体はそのまま家の中に転がり込んだ。
 すぐさま身を起こし、負傷の程度を確認した。受身は取ったが、背に鋭い痛みが走る。今度は骨が折れたかもしれない。もっとも壁にそのまま衝突していれば内蔵破裂は免れ得ないだろうから、この程度で済んだのは不幸中の幸いだ。
「……うぁっ」
 唐突に横手で声が上がったのに、センは目を見開いた。無人と思っていた室内に居たのはまだ十にも満たないような少年。両目に涙を溜めながら部屋の隅で震えている。
(逃げ遅れたのか。家族の者は何をしているんだっ!)
 やる方無い憤激を胸の内にしまいこんで、センは少年に歩み寄った。殺気立った気配を押し鎮め、なるべく穏やかな口調で言う。
「立てるか、少年」
 その言葉に彼は気を持ち直したのか、ふらつく足で何とか立ち上がる。
「良い子だ」
 センは少年に笑いかけると、出口へと促した。一刻も早くここから逃がさなければならない。
 その時、轟音と共に壁を突き破ったボス猿が姿を現した。  センは舌打ちして、少年の手を強引に引き寄せる。魔物が飛びかかるその前に室外へ飛び出すと、そのまま脱兎の如く駆け出した。
 子供を連れては戦えない。どこか隠れられる場所が無いかと周囲に目を走らせる。
 ふと目をやった石壁の陰、そこで再び人間の姿を見つけた。昨日、一宿一飯の恩義を受けた、漁師の男だ。彼も逃げ遅れたのか。それとも別の理由なのか。どちらにしろ、今そんなことはどうでもいい。
「この子を頼む!」
 少年を、呆然としながらこちらを見る男に預ける。そういえばまだ名前も聞いていなかった。そんなことを思いながら、センは先程の攻撃にも手放すことの無かった刀を再び握りなおし、魔物へと相対する。
 紫の大猿が、家屋を突き破ってその巨体を現す。この場で戦いを長引かせるわけにはいかない。
(一撃で、決める)
 半身に構え、腰を落とし、右にある『火明』の刀身を、突き出した左手の人差し指と中指の間に乗せる。さながら矢を引き絞るように、刃の先端を目標へ向け、狙いつめる。
 魔物が両腕を振り上げ、突進する。
 センはただ一点を見据え、狙う。
「破ッ!」
 気合と共に、センは大地を蹴った。
 解き放たれた矢のごとく、跳んだ体から繰り出される鋭い切っ先と、双腕を振るい突撃してくる魔物。
 交錯。
 次の瞬間、心臓を刀に貫かれた魔物は、どす黒い血を吐いて、どうと地面に倒れた。その後で、少女がすっくと立ち上がる。
 センは大猿の攻撃をかいくぐり、懐に飛び込むと、刀を突き立てざま、魔物の股下をくぐって背後に出たのだった。そうしなければ、例え相手が即死したとしても、勢いに乗った巨体に押し潰されかねない。至難の業だったが、何とか成功を収めた。センはふうと息を付く。
 その時、背後から悲鳴が上がった。
 弾かれたように振り向いたその先には、男と少年に襲い掛からんとする褐色の大猿の姿があった。そうだ。まだ倒したのは四匹。最後の一匹が残っていたのだ。
(しまった……!)
 センは自分の愚かさを呪いながら、疾駆する。魔物がその両腕を振り上げた。男は少年を抱えたまま、動かない。
(間に合わないっ!)
 そう思った瞬間、センは胸元の勾玉(・・)を握り締めていた。


     ×××××


 少女が駆け、眼前に迫る巨大な魔物に真向から突っ込んでいく。その背中を見やりながら、朦朧として男はただ、突っ立っていた。
(なぜ、戦う)
 別に自分の故郷というわけでもない、たまたま立ち寄ることになったというだけの村のために。
「一宿一飯の恩。晴らさせていただく」
 ただそれだけのために、この少女は怪物どもと戦っているというのか。
 男は傍らに立つ、少女に託された少年の手を握りながら、逃げ出すことも忘れて死闘に見入っていた。
 少女と大猿の体が交錯する。大猿は血を吐き、倒れた巨体が大地を揺らした。その後には、空手の少女が悠然と佇んでいる。
(信じられない。こんな、こんな少女が――)
 魔物に立ち向かうなんて、愚かなことだと思っていた。
 あんな化け物に、人間が敵うはずがないと思っていた。
 その概念を一人の少女が今、塗り替えていく。
 男は圧巻されていた。いや、魅せられていたというべきか。彼女の戦いに。彼女の舞に。
「ひっ……!」
 少年の上げた悲鳴で、男は我に返った。いつの間にか接近していた大猿が、両腕を振り上げ、獰猛な笑みを浮かべている。男はとっさに動くことも出来ず、少年を抱きかかえ、思わず目を閉じた。
 今度こそ駄目か。覚悟を決めた瞬間、眩い閃光が瞼を焼いた。その一瞬後、耳をつんざく絶叫が響き渡る。男は閉じていた目を、ゆっくりと開いた。
 大猿の体は炎上していた。全身をくまなく焔に包まれ、既にぴくりとも動かない。肉が焦げる嫌な臭いに、男は呻いて後退る。
(一体、何が)
 そこに、センが駆け寄ってきた。彼女は荒い息を付きながら、胸元の石を握り締めている。
(まさか、彼女が?)
 他に考えられない。しかし、彼女は武闘家だ。詳しい事は解らないが、確か戦士や武闘家などは通常、魔法などは扱えないのではなかったのか。
「あんた、一体――」
 そう口にして、言葉を続けることが出来ない。一体なぜ戦ったのか。一体何者なのか。自分が何を問いたいのか、解らなかった。
 ただ一つ言えるのは、彼女が自分を、自分達の村を、たった一人で守りきったこと。
「良かった。無事で何よりだ」
 少女は清々しい笑顔でそう言った。
 男はその笑顔を一生、忘れることは無かった。

 少女は翌日、村を発った。「私には果たすべき目的がある」、そう告げた少女の瞳には、背負った使命の重さが垣間見られた。
 それ以降、少女が村に訪れることは無かった。しかし、村人は少女のことを忘れることは無かった。








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